ハイボール・ハイライツ

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好きなものを好きであり続けるのは難しい

この前、僕の大好きなとあるユニットのライブに行きました。

 

4年ほど前だった思うけど たまたま見つけたMVの世界観に惹かれ、それは僕の好きな音楽そのままを表現していた。そのMVやアートワークを手がけるイラストレーターの他作品を見たり、コラボ曲なども全部聞いたり、さらには「優れたクリエイターや文化に携わる仕事がしたい」というきっかけまでくれた。

 

そんなユニットのライブに行ったのだけど、

『好き』の継続は難しい という話です。

名前は最後の方まで伏せます…。

 

『好き』との違和感

僕が初めてそのライブに行ったのは去年の1月。

 

その時は奇しくも今回のライブと同じハコだった。まだデビューしてから経ってないというのもあって、周りの人もなんだか小洒落てるというか、"いつものライブ"みたいな仲間内に僕も参加させてもらっている気分だった。

 

もちろん物好きや根っからのファンが集まっていたわけで、それぞれの曲のクラップ一つ一つを全部拾っているような、そんなライブだった。

・・・

そこから先週のライブまで4回くらい行っただろうか。ワンマンもフェスも。大好きな音楽を目の前で披露され、それに合わせて身体を動かすのが本当に気持ちよくて、ただ聞くだけではなくライブに参加することも、彼女らの世界に没頭している気分になれた。

 

ただ、去年の秋から今年いっぱい、どうも引っかかっていたことがあった。

 

それはそのユニットの新曲がどれもアニメのタイアップ曲だということ。

僕はアニメ業界の音楽、ひいてはタイアップ曲というものをあまり信用していない。基本的には作品のテーマありきで、それに合わせて曲が作られるからだ。テレビサイズの1分30秒に収めたり。

 

さらに、深夜アニメは回転率が非常に高い。

ワンクールごとにおびただしい数のアニメのOP・EDが入れ替わっていると思うと、アニメ音楽の寿命というのは短いんだな、とわかる。

 

僕の大好きだった音楽が、ものすごい速さのサイクルに巻き込まれ、刹那的な消費をされるようになった。アニメのために曲を作り、アニメが終わったらその曲なんて誰もが忘れる、そんな業界の音楽になってしまった・・・と新曲が出るたびにすこしずつ悩みのタネは大きくなった。

 

そこで迎えたこの前のライブ。

違和感が爆発した。

みんなは何故ライブに来ているのだろう

多分、今回の件は僕が悪いんだと思うけど。。

 

仕事のせいで到着がギリギリで、一番後ろの方でずっと見ていた。そしてすぐ近くには5〜6人の集団がいた。

 

以前からボーカルがめちゃくちゃ可愛い、みたいなのは話題になっていた。当然僕も可愛いと思ってたし、そういう人気を否定する気は一切ない。

 

でも、ライブが始まるや否や、その集団の方から

「ウエストやば」

「まわして〜」

「射精したわ」

って盛り上がってるのが聞こえた。耳を疑った。

 

他にも、既存の曲に対して「この曲なに!?」とか「色んな意味で トイレ行くわ〜」とか。

 

目障り 耳障りで全く集中できなかった。

僕はヴィーナスの絵画をまじまじと鑑賞していたのに、「裸!エッロ!」と横で騒ぐ子供たちに邪魔されたような、そんな気持ちだった。

ライブはステージ⇔客 という2方向の繋がりに統一感があるから好きなのだ。それを真横の騒音に邪魔されたくなかった。

・・・

ただ邪魔なだけではない。

これは責めるつもりはないけど、その集団だけではなく、前で見える客の多くが男性だった。ノリ方もアイドルみたいな感じだし、半ばオタ芸(?)的な身振り手振りをしている人もたくさんいた。

 

「お前もその場にいたんだからオタクだろ」というのはもちろんわかる。

でも去年の年始のワンマンは全くそんな人らはいなかった。ライブでは騒ぐのではなく 好きなものを心ゆくまで楽しみたい、という謙虚で真っ直ぐな人がたくさんいた。他の人のスタンスなんてしらんけど。

 

MC中 色々なことを考えた。

この人たちはなぜORESAMAのライブに来たのだろう、と。

ボーカルが可愛いから?

アニメの曲に起用されてて印象的だったから?

 

まあなんでもいいけど、

ライズ会場は正直言うとすごく居心地が悪かった。仲間内でバカ騒ぎするライブももちろんあるだろう。でも、僕はステージ上の世界に没頭したいのであって、仲間やファン同士との過度な盛り上がりは疎ましく感じる。

 

傲慢でしょ。

違和感を他人のせいにしたがる自分さえも気持ち悪くて、色々考えた。

居場所ではなくなった

いまやそのライブは「オタクが気軽に参加できるクラブ」と化しているのだった。

僕はそういう場では楽しめない。というか自分には理解できない楽しみ方をしている人たちを非難できる権利はどこにもない。

正直隣にいた集団まじでクソキモかったけど、見た感じ会場にいたみんなが「そういう人たち」に見えたし、しょうがないと思った。

 

単純に居場所としてのライブではなくなったのだろう。もし僕の好きな漫画家がコミケの18禁ゾーンでイベントやってたら別の機会を窺うだろうし、それと同じだ。

 

ナワバリ意識や昔からのファン気取りのつもりはない。僕は潔く身を引こうと思った。

僕は主流を遮る石みたいなもので、長年その場に留まっていた挙句、せせらぎが騒音に聞こえ、いつのまにか増した水の流れも邪魔に感じるようになったのだ。

 

僕は一旦ライブに行くことをやめる。

水流、つまりライブに参加する人の層がまた再び居心地の良いものになるぐらいまででしょうか。

 

今までたくさんの好きなものができて、色々な理由でこちらから手離したり、向こうから離れて行ったりしてしまった。

 

でも僕はORESAMAという音楽が本当に好きで、それに縋るしかないのだ。

 

この世で「自分だけが好き」なんていうものは存在しない。誰にも邪魔されず僕だけのものだったらいいのになって思うし、周りの罪のない"邪念"に惑わされたくない。僕にとって、好きなものを好きであり続けるのはこんなにも難しい。

P.S.

アニメソングは恐ろしい。

爆発的な人気を得られるが、あまりにも持続力がなさすぎる。