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吉澤嘉代子『女優ツアー』ライブレポ・言葉と使命、個人的な話

3.3(日) 吉澤嘉代子さん 女優ツアー仙台公演に行ってきました。

都内在住なのでもちろん東京公演に行きたかったのですが、チケットが即完してしまった。吉澤嘉代子の世界に足を踏み入れられるなら、日帰り仙台のお金と時間は対価として足りないくらいだろう、と半ば強引に決行。

 

2ヶ月くらい前の自分のこの英断を褒めたい。

スウェットも買えてラッキー。

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さて、ライブレポと個人的な話。

全公演終わったので、すこし加筆。

彼女のライブははじめてでした。突飛なパフォーマンスをするとは当然全く思ってなくて、僕がゾッコンなだけであり側から見れば無難、そんなライブに落ち着くだろうと思っていた。

 

ふたを開けてみると、初めて経験するライブの形で、終始楽しかった。

 

アルバム『女優姉妹』は全10曲しかなのに、どうやって全国ツアーするんだろうとすこし不思議だったのだけど、曲たちをまとめひとつの世界を創り上げる吉澤嘉代子の才能に脱帽しました。半分コンサート、半分舞台、という感じでしたね。普段はしゃぎ倒すようなライブに行くので、座って観劇するタイプは新鮮だった。

 

そして何より印象的だったのは、MC無しだったこと。

MCが入るとふつう、その瞬間だけ日常に戻る。アーティストのリリース情報だったり、日頃の出来事や想いを述べる時間になるのだけど、個人的にはその時間の分だけ別の曲を披露してほしいなあ、と思っている。

だからこそ今回の女優ツアーのように、最初から最後まで一つの物語で、芝居を休憩としている構成がすごく好きだ。さらにブロックごとの方向性もストーリーと紐付けされしっかり舵取りできていて、連続した数曲はどれもミニテーマとシナジーのあるものばかりだった。

 

つまり、オープニングから「最終回」のカーテンコールまで1秒たりとも彼女の世界から出ることはなかったのだ。だれにも邪魔されずに、吉澤嘉代子の空想を、言葉を、音楽を共有できる、それがどれほど幸せなことかは言うまでもない。

 

よろこびの選曲とアレンジ

当然過去アルバムの曲もありました。あんな曲やこんな曲、幅広く披露してくれたけど、ちゃんとテーマに沿って選ばれていた。

 

ファン歴的には新参だから、その分1秒も聞き漏らさないようにたくさん準備して臨んだ初ライブ。スクリーン越し、イヤホン越しに感性の器を満たしてくれる憧れの人がステージ上で歌っている。感無量すぎて前半は毎曲涙を流していました。脆い。

 

いつかのサイン会では一言も伝えられなかったからか、その分溜め込んだ想いが溢れた。という感じで、前半はひたすら幻を見ているかのような気分だった。だんだん慣れていったけど。

 

初めて買ったアルバム「屋根裏獣」。あれを聞いてから真っ暗だった僕の視界にはポツポツと明かりが灯るようになった。その灯りが続く道を今歩いている。

そのはじめの一歩を踏み出せたきっかけのアルバム、そのリード曲「屋根裏」のイントロが流れた時、本当に救われた気持ちになった。

 

そこから続くよろこびの曲たち。今まで蓄えていた自分の感性と想像力が、ステージ上の吉澤嘉代子に共鳴するように燃え盛るのを感じた。以前ORESAMAのワンマンではあまりの力強さに生きているという実感を得たのだけど、それと同じ熱を深い深い身体の奥の方から感じ、全身を巡り巡って目から涙としてあふれた。

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アレンジといえば。

気になっていた「洋梨」。まさかツアーにたなかみさきさんが同行するわけないし。

結果、個人的に超嬉しいデュエットが聞けた。ふふふ。他の曲でもギターソロで引っ掻き回してた弓木英梨乃さん。センターのディーバに引けをとらず、最高でした。

 

それにしても、吉澤嘉代子さんは文字通りの名優に見えた。曲ごとに設定されている主人公に完璧になりきっていた。エンド後のトークショー(?)的な時間では思わず素の姿に拍子抜けしてしまったのだけど、いくつもの曲の主人公になりきっていた彼女はステージ上で何色にもギラギラと輝いていた!

言葉と使命

吉澤嘉代子さん、ふつうに話すとかなりタジタジに見えた。頭の中ではぐるんぐるんと言葉が巡り湧いてくるんだろうけど、それを歌詞として表出させている、と。言葉にメロディを添える音楽家という職業が天職だと。終盤の語りでそう言っていた。

 

今回のライブでもまた、吉澤嘉代子さんのおかげで自分の将来への道がすこし明るくなった。

 

大抵の想いは過去の記事に書いてしまったのだけど、今回のライブで強烈に印象に残った言葉「言葉は永遠  言葉を歌詞として残すこの職業が誇らしい。」

これは何度も反芻して、消えない傷跡になるくらい胸にしっかり刻みます。

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僕は言葉を軸とする職業を目指しています。

今まで自分を救ってくれたように、ファンタジーを必要とする人はたくさんいる。ゼロからの創作ではないけれど、大元の作り手を尊重しつつ、自分の感性も乗っけることができる、そんな言葉に関する職業…翻訳家です。

 

そうして僕の言葉で出来上がった作品が多くの人を救ってくれるといいな、と思ってます。ちょうど吉澤嘉代子さんの言葉と、言葉に対する姿勢が僕を救ってくれたように。言語を学んできた経歴と、唯一自信を持てるサブカルチャーへの感性、それらを併せ持つ自分の使命なのかな、、、と、、、。

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言葉の仕事に誇りを持っている人が目の前で輝いていたのを見て、いまその憧れはめらめらと燃え盛っています。吉澤嘉代子さんが「美少女」「ミューズ」を歌う前に語ってくれた数分間、あの言葉はすべて僕にとっての今後の標です。

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どうかなにかの間違いでも何でもいいので、ご本人に届いて欲しいなあ。そんな爆エモな気分になった仙台遠征。原動力は人生がのしかかった重苦しいものかもしれないけれど、普段はもっと楽しく明るく吉澤嘉代子の音楽を楽しんでいます。

とにかくこの「女優ツアー」では、吉澤嘉代子さんがお手本として鏡に映っていた将来の自分のように感じました。この先の人生楽しみです。

 

曲ごとに見える姿が変わる吉澤嘉代子さん、ときに勇ましく、ときに愛らしく。そして普段の姿もまたユニーク。まだまだ知らない部分が多すぎる。もっと参加したい。以上!