ハイボール・ハイライツ

ハイボールを飲みながら、気になるコンテンツのハイライトを。

2023年上半期に劇場で観た映画をまとめただけの・・

まとめただけです。

公開日そのものは去年のものもあります。だいたい12月くらいに公開した作品は入れてる気がします。点数は付けません。あくまで感想。

2023年、配信などで観た旧作も含めると現時点で80本近く映画観ているけど、意外と劇場で観た新作は35本くらいだった。リバイバル上映とか、2周目とか、ロングランのトップガンとかRRRも今年観たから、実質的な本数としては40,50本くらいかしら。

一応最後は10本セレクトしました。

以下、五十音順です。

1「AIR/エア」

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中盤に挫折がないので最初から右肩上がりにテンポよく展開していき、観やすかった。マット・デイモンの役作りすごい。一線を退いたおじさんの感じ好き。電話越しに相手を挑発するマット・デイモン、お茶目でよかった。あとマイケルジョーダンの偉業をほぼ知らなかったので、それをエモーショナルに、プレゼン形式の熱弁という形で語ってくれて、没入感もあった。

ちなみにこれは配信で見た。

2「アシスタント」

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うーん。あまりにも平坦すぎるプロットの割に、テーマになりうるちょっとした違和感もいつのまにか通り過ぎてしまった。こういう映画にワンカットの長回しが合うのかな、とかおもった。一方で、感情的なシーンが無く、ただ理不尽が覆い被さるだけの多忙な1日、というのはよく描写できていた。それくらい、当人以外は我関せずだし何も起きてないように見えるものだ。シャンタル・アケルマン監督の「ジャンヌ・ディエルマン」ももうすぐ劇場で公開なので、そっちも比較しつつ観てみたい。

3「あのこと」

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結構よかった。完全に映画の影響で、フランスのティーンは性に対する興味が強いイメージがある。タイトルでは「あのこと」と伏せているが、生々しい描写を隠さずに見せることで、あえてその時代に中絶がどのようにタブー視されていたかが痛烈に分かる。見たくないものを見る(見せられる)ということを通じてわかる良さ。

4「アフターサン」

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2回目を観なければ観なければと思っている作品。初見時はさほど没頭できず、なんとなく終わってしまった。映画ファンとしてのプライド的にこの映画を評価しないと!という潜在意識が働いている気がして、もう真っ当に鑑賞できないかもしれない。すごく上質で稀有な作品であることは間違いないけど、それが刺さるかどうかは個人的な体験の追憶によるものなので、無理にこの作品を好きになろうと躍起になるのはそれはそれで違うよなあ。

5「イニシェリン島の精霊」

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これはもう半年くらい前ですか。かなりサスペンス?色が強くて、マーティンマクドナーのカラーまで踏まえて観たかったな。気軽な気持ちで観に行ったので、のんびりしたテンポにチューニングしきれず、退屈に思うシーンがいくつかあった。思い返すととんでもない良作だったと気付かされた。キャスト目当てで観に行った作品なので、そこは本当に満足している。

6「Winny

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ダークホース枠。規模としては小さいなりに、実際の事件を脚色しつつ、東出昌大の等身大な演技のバランスが素晴らしかった。いつも三浦貴大が個人的にはハマらず、この作品もその通りになってしまって、ちょっと残念。でも東出昌大のあの役作りをみられるだけでも、大変価値のある作品。

7「ヴィレッジ」

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わかる。わかるんだけど、好きにはなれなかった。藤井道人監督作品、ちょっとズレてるように見えるのはなぜなんだろう。キャスティングは光るものがある。ヤクザと家族みたいな、もっとヒューマンドラマっぽいのが自分は好きなのかなあ。というか、そもそも横浜流星古田新太も、演技が好きになれないんだよなあ。邦画って感じの映画。

8「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

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粗探しをするといくつもボロボロ出てくるが、それをものともしない設定とテーマ性、そしてキャストの名演が光る作品。細かいところを気にしてたらしょうがないよね、と思うことにしている。あと人名が全く覚えられないから、ルーニー・マーラの顔の整いようだけが頼りだった。

9「エゴイスト

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すごすぎる。鈴木亮平・宮川氷魚の演技に感服です。かなり濃密なセックスシーンが何度もあったけど、あれほど意味のあるもの、ひいては愛を感じるものは初めてだったかもしれない。鈴木亮平の仲間たちによる、台本に書かれていなさそうなくらい自然な会話が随所に散りばめられていて、そのあたりも重めのテーマの中でいい塩梅の緩衝材になっていた。それを受け取った側が愛だと思えば、それはもう愛なんだという母親の含蓄を大事にしたい。

10「エスター ファースト・キル」

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いや〜!なんかオモロに走ってるシーンがいくつかあってすごく気になったんだけど、前作エスターと同じサスペンスホラーを期待していた割には、意外とコメディカルな路線もありなんじゃ?と思った。じわじわ評価上がってるかも。なんとなくティムバートンとか、アダムスファミリーとか、そういう方面のブランディングができそう。もう新作は難しいだろうし、さすがにフランチャイズ化はやめてほしいけど。

11「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

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今年1番期待していた作品。非常に良かったです。

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12「ガール・ピクチャー」

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ビジュアルやファッションが良い。それ以外のテーマというところでは、他の怪作と比べても引けてしまう。一方で、作品と同じくらいの規模感で描かれる些細な日常風景、そこに潜むセクシャルマイノリティにスポットが当たるような作品はそこまで無いので、良かった。センセーショナルで騒然とさせる必要はなくて、このくらいのスローテンポで描いてくれる方が感情移入しやすいかもね。

13「怪物」

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よかった〜。意外と賛否両論ですね。

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14「渇水

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まったく好きになれなかった。他の人の評価もそんな感じで、まあそうだろうな、と。磯村勇斗はやっぱり上手。

15「逆転のトライアングル」

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これも今年!とにかく長いが、2部構成な上、どのシーンも毒々しく下品で痛烈なので、結構あっという間だった。政治的でイデオロギー溢れる作品だけど、真摯に向き合ってその一つ一つを考察する価値は十分にある。下品、難しい、そういった感想で片付けるのはもったいない。かくいう自分もメッセージの理解度はさほど高くないけど、単純にオゲレツ下剋上コメディとして楽しめた。

16「グッドバイ、バッドマガジンズ」

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主演の杏花さんがとにかく良かった。あとこういう映画にはカトウシンスケが絶対いる。絶対にいる。気になる点もあるけど、アダルト業界を面白おかしく描いてて、その点やコメディは順当に面白かった。なんと言っても主人公が早稲田卒な感じが相当ツボで、役作りすごいな〜!と思った。

17「ケイコ 目を澄ませて」

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岸井ゆきのすごすぎ。言葉を発せない人間がどこまでコミュニケーションをできるか、その限度(コミュニケーションの限界ではなく、その表現の限界)まで突き詰められていた。無言でトレーナーとスパーリングするシーンが脳裏に焼き付いていて、そのシーンで涙したのは忘れない。障害を持つ人たちをどう扱うか、そのセンセーショナルなテーマはさほど重要じゃなくて、ただただケイコの行く道、その生き方がつぶさに描かれていたのが良かったな。ほぼ同時期に公開された「そばかす」と比較してしまって、作為を感じないしたたかさがあった気がする。

18「ザ・フラッシュ」

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最高!横展開しまくるマーベル作品に対抗してるのか知らんけど、数々の名優たちが演じたバットマン、それを縦方向のマルチバース的に集結させる手法、あまりにもクールだ。これからもこういうちょっとメタいマルチバースの描き方が増えてくれればファン冥利に尽きる。モーションと音楽がマッチしていたり、そのテンポやコメディの演出なんかがエドガー・ライトっぽい感じで、今後期待しちゃいますね。。

19「ザ・ホエール」

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今年、そして人生ベスト級に刺さった作品ですね。

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20「シン・仮面ライダー

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仮面ライダー庵野監督もどっちも思い入れがないので、特に好きではない。浜辺美波が映るだけで画面が引き締まる。名女優が生まれる現象って、こんな感じなのか!?あと森山未來柄本佑をはじめ、実は西野七瀬が女優として好きだったりするので、その辺は結構満足だったかも。邦画っぽいべたべたな漫画調のセリフ回しが気になったのは途中でどうでもよくなった。

21「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」

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すごすぎる。やりたい放題すぎるのに、ギリギリで視覚的なバランス・物語の整合性が取れていて、そりゃスタッフが離れるくらい過酷な制作だったんだろうな、、と労い。「ザ・フラッシュ」とのマルチバース対決(対決はしてない)、どっちも最高に良くて、本当に満足。続編にはとても期待している一方、なんかこのまま終わってくれてもいいかもな、っていうくらいの満足感がある。むしろついに実写まで表現に絡んだりで2作目にて既に限界突破している気がして、次どうなっちゃうんだろうという不安もある。あとMCU要素は極力減らしてほしい。。。。

22「聖地には蜘蛛が巣を張る」

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サスペンスものとしてだけでも結構上質でハラハラドキドキ。それに乗っかってくる宗教的な縛りや価値観というものが悪い方向に働き、相互に理解できない人たちが世界のどこかにいる、という恐怖のようなものを感じさせられる。民族ホラーとかでよくある奇習なんかよりよっぽどリアリティがあり、現代劇サスペンスと宗教の絡め方が上手、というかこれが実話ってまじかよ、という感じ。

23「セールス・ガールの考現学

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完全に出落ち。モンゴル映画、アダルトショップ店員、というパンチのある設定から繰り出される、B級邦画のようなストーリー展開。ちょっと刺さらなかったです。狙って面白くしたのか本当に良い演出だと思ったのかはわからないけど、劇中で主人公から急にパンしてバンドが映り、その演奏がBGMとして流れる、みたいなのは謎すぎて笑った。

24「世界の終わりから」

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ダメでした。やっぱり伊東蒼がめちゃくちゃにうまくてたくさん喋ってくれるわりに、ストーリーやそのほかの役者、あらゆる言葉回しが刺さらなすぎて本当に辛かった。

25「そばかす」

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「ケイコ」と同時期に公開されたアセクシャルもの。なんとなーーーく、全編にわたってどこか意図が透けて見えるというか、ツイッターのバズったnoteの記事を読んでいる気分というか、どことなく押しつけがましくて恩着せがましいような内容に思えてしょうがなかった。お母さんは物語を動かす(=主人公の感情を焚きつける)ためにああいう役になったんだな、とか。三浦透子伊藤万理華などキャストはとても良かっただけに、操作や誘導を感じてしまうプロットだった。いやそれがダメっていうんじゃなく、そう邪推してしまう、この映画を純粋に好きになれなかったことに対して非常にバツの悪い気持ちになった。アセクシャル入門編という、最低な感想。

26「ソフト/クワイエット」

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最初はもはやコメディだろと思いながら見たけど、サスペンスに転げ落ちてからのスピード感やバイオレンスは見ごたえがあった。最初は別にワンカットである必要なくない?と思ったけど、その落差を急激なグラデーションで表現しているのはすごいかも。カットでつなぐんじゃなくて、あくまでも連続している。その人間性の「急変」という様子を鮮明に映し出していて、意外と名作なのかも。

27「それでも私は生きていく」

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ず~っとスローテンポで、もう内容もあまり覚えてない。言語もフランス語だから、オリジナルの言葉を楽しんでみる、というのもできなかった。寝ました。

28「TAR ター」

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難解な割にそこまで作家性は強くなかったから、感性というよりは教養や読解力が求められる作品かな。もちろんクラシック音楽云々はまったく理解できなかったけど、権威の崩壊っていう側面と、それを引き起こしたセクシャリティのあれこれ、それは一種のサスペンスという視点で見ても面白いと思う。さらにこの映画の構成や表現力もとても力強くて深堀りしがいがあり、かなりの質量をもっているド名作。

29「トリとロキタ」

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これもまたダークホース枠かも。ドキュメンタリーのように、ポートレートのように姉弟の生活を映しているのだけど、純心がゆえのあの結末は本当に心が痛む。一瞬のうちに心を突き刺されるビビッドな結末と、鈍くて黒いしこりが残るまま終わったあの感覚が忘れられない。

30「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

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よかった。日本の大学生を描くからこその名作だと思う。こういう映画が寄る辺となって救われる人が大勢いるだろうし、ぜひ色々な人に見てほしい。この映画に登場するような当事者ではない人たちがどう思うか。それも気になる。ぬいぐるみとしゃべるかどうかっていうのは意外と些末な要素ですねえ。

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31「ノック 終末の訪問者」

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そもそも期待してなかったけど、下回ってきた。なんか飛行機とかで暇になったら見るタイプの作品かも。細かいところはあんま覚えてないけど、主人公の女の子が可愛かったのと、訪問者のガチムチおっさんがよかったのは覚えてる。洋画でも、「ヒャッハー!殺ちゃおうぜ!」系のキャラってやっぱいるんだな。というかツイッター漫画みたいだったわ。Youtubeの広告で流れてきそう。シャマラン監督作品、一つも刺さったことない。

32「波紋」

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筒井真理子光石研、磯村勇人が上手すぎてそれだけで満足。逆にそれ以外で特によかった点ないかも。むしろそれ以外の要素がそもそもないか?筒井真理子がとにかくすごすぎる、それだけで十分。

33「ベネデッタ」

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エクストリーム。とはいえ、ちょっと疲れて途中で寝た。実話とはいえめちゃくちゃに脚色してるし、神話的で聖書の一節にあるような方面に舵を切って飽きさせない工夫がなされていてよかったかも。

34「ボーンズ アンド オール」

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カニバリズムがどのようにティモシーシャラメと絡んで、ホラーになるのだろうと気になっていた。蓋を開けてみればカニバリズムっていうのはただのマイノリティ要素にすぎず、ホラーなんてとんでもないただ美しい物語だった。これをホラーとして消化するのはとってもリテラシーやリスペクトに欠ける気がする。性愛やセクシャリティとはまた違った疎外感を感じる若者のさわやかロードムービー。その路傍に登場する人物もまた、同じ要素と向き合っていて、さらにそれぞれの答えがあって、とても魅力的だ。

35「リバー、流れないでよ」

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佐久間宣行がラジオで紹介して流行ってるらしい。タイムリープ、コメディ、ミニ邦画特有のアイデア性、どれを取っても面白かった。なんだけど、やっぱり同じテイストの「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」の方がどれもこれも上手に感じてしまった。。これらを比べるな、というのは無理だと思う。。あと、芸人がネタ中に大声で騒ぐっていうのが自分の笑いの感性的にとても苦手なんだけど、それと同じことがずーっと続き、しかも男性の登場人物がみんなそんな感じで、非常に疲れた。「せめてゆず湯に」が一番笑ったかも。でも、邦画に期待してるのはこういう作品なので、満足〜!

36「私、オルガ・ヘプナロヴァー」

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とっても期待していたし、中々に好きな作品。全編にわたって、主人公の疎外感や怒り、社会からのネグレクトといった負の感情の蓄積が細かく描かれていた。とはいえ表出するのは結局ラストシーンのみだったから、あの凶行の規模が大きすぎるからこそ、その動機はもう少し色濃くほしかった。だが、犯行前夜に手紙を書くシーン、あの一連の言葉はとても力強く、たしかな意志をまざまざと突き付けられた。翌日の犯行シーンに釘付けになったのは言うまでもないし、名シーンだ。

37「わたしの見ている世界がすべて」

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目の肥えた知り合いが見たいと言っていたから、という理由で何となく見たけど、想像以上に良かった。とにかく森田想が上手すぎる。脚本もかなり現実に寄り添っていて、漫画的でアニメ的な、邦画のイヤな演出がなくて非常に見やすかった。それをトークショーで「ポートレート的」という言葉で表現したオーディエンスの方、まじでナイスです。テンポよく話が進んでいき、役者の演技も自然。淡泊でコンパクトに見える作品だけど、それを狙って作り上げるのはなかなか難しいんじゃないかなあというのが感想。いい作品ですね。

・・・・・・・・・

ザ・ホエール

エブエブ

怪物

ザ・フラッシュ

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

エゴイスト

セレクトするならくらいですかね〜10本選ぼうとしたんですけど、そもそもそんなに新作観てませんでした。

あと、

SHE SAID

ピンククラウド

コンパートメントNo6

対峙

フェイブルマンズ

オットーという男

The Son

パリタクシー

この辺りは見たかったけど逃しているので、小さいシアターか配信で見る。これからの公開作品は特に把握してないんだけど、せっかくだから7月のラース・フォン・トリアーの一挙上映は参加してみようかなと思っている。上司にも有給取りなよ(笑)と言われた。

 

以上です。

今年になって量を意識して映画を見ているけど、まだまだ旧作は全然見られてないのでこれからも続けたいですね。

いま数えてみたら6/25「リバー、流れないでよ」で新旧合わせて今年ちょうど100本みたらしい!それでも記録上は累計400本程度しか見てないから、1000本以上とか見てる人たち、すごいなあ。自分にいま足りないのは色々な作品を見ることだと思ってるけど、義務はなくて、単純に好きだから見てる。

このペースだともう100本を下半期に見れることになるけど、とても実現可能とは思えない・・