ハイボール・ハイライツ

ハイボールを飲みながら、気になるコンテンツのハイライトを。

感想(100点) 映画「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」

見てきました。最高だった〜

mondays-cinema.com

最高だったです

今年見た映画の中でも一番くらいに面白かったので、寝る前に書いておきます。

章立てとかはせず、ただただ思いつくままに。。

キャストのあれこれ

マキタスポーツ

出ている作品を初めてみたどころか、そもそもマキタスポーツっていう人間を名前以外ほぼ何も知らない状態で見た。上司像としては中々に陳腐なあるあるで構成されているおじさんなんだけど、とにかくうまい。演技がうますぎる。つまんね〜部長を"演じている"とかではではなく、まじで日本の全企業のおじさんの平均値を体現したような、おじさん管理職そのものだった。本当にそのもの。天然ものすぎ。

めちゃくちゃどうでもいいけどバーグハンバーグバーグの社長長島氏、まじでこういう感じの人であってほしい。

②円井わん

主人公。ああ、いるいる。うちの同期にもいるわこういう女子。仕事熱心で、ひたむきすぎて、上昇志向もあって、可愛すぎず、ちょっと視野が狭い。吉川も、全日本広告代理店勤務女子代表(架空)って感じでした。同じく小さめの代理店で激務をひた走っているらしい友達の彼女のイメージまんますぎる。

あとはすみません、割愛するけどみんな最高によかったです。というか役者のみなさんはほぼ全員存じ上げなかったんですけど、だからこその「一般社員」としての解像度がめちゃくちゃ高くて、こういう映画ならではの魅力だよなあと思い返してしみじみ。記憶に残っている作品だと、「メランコリック」も似たような布陣だったような。無名だからこそ光る演技というものがあるのでしょう。

監督のあれこれ

14-shiori.com

21年の春に公開されたこの映画。人生ベスト級によかった映画です。ノンフィクションなんですけど、この監督の長編2作目というのがあまりにも楽しみでした。期待を全く裏切らず、というか「14歳の栞」はノンフィクションだったし期待のしようが無かったんだけど、軽快なテンポとかテロップの使い方とか、かなり共通点もあって、個人的にザクザク刺さった。「14歳の栞」では一人一人ブロックを分けそれをテンポよくつないでいき、本作「MONDAYS」では1日1日をテンポよくつないでいる。思い返せばどちらも似たような構成のチャプターを繰り返して繋いでいるような作りだと思うんだけど、いやあ、天才か??89分が一瞬の淀みなく常に最高速度で過ぎ去っていった。

 

てっきり長編1作目の「14歳の栞」が特殊なノンフィクションだったから、竹林亮という監督の存在はノーマークでした。これから先の作品が楽しみでしょうがない。

ストーリーとかのあれこれ

それにしても小さな広告代理店の解像度、高すぎない??卑近な例をそのままぶち込んだあるある満載だった。自分も似通った業種・職場環境で働いているから、崎野の電話口での対応とか、代理店勤務の激務と父親というポジションのどちらにも潰されて可愛いスマホゲーに熱中する平とか、身近に思い当たる節がありすぎて最高だった。聖子さんみたいな、ああいう職場のデスクさんって、なんか第一印象ちょっと冷たいんだよね。でも現場のスタッフが激務すぎるのを支えているのは、一番早く出社している彼女だったりする。今時会社で寝泊まりするのは減ってきているだろうけれど、広告代理店の激務のディテールがこれでもかと詰まっていたと思う。個人的に理解できたあるあるネタが多くて嬉しかった。

 

ストーリーもシンプルでよかったなあ。上司・部下・同僚っていう関係性が変化し成熟していく様相を、同じ日常を繰り返すタイムループと絡み合わせていて、とても分かり易かった。仕事終わりに観に行ったから、過剰に身に沁みるような状態だったのかもしれないけれど。

わたくし個人の境遇とも重なる。来年2月から、5年勤めた今の部署を、キャリアアップを見据えた自分の希望で異動する。これまでの上司は氷のように冷たかったりシンプルクソ人間だったりであまり思い入れはないのだけど、ここ1年のチームの長はとても良い人で、マキタスポーツのようなおじさんではないんだけど、この映画のラストでじーんとくるような熱いパッションを持っている人だ。万が一異動を思いとどまるような要素があるとすれば、その上司+今のチームメンバーと一緒ならもう少し長く今の部署でも働いてもいいかな・・と思えるところ。まあ、わたくし自身めちゃくちゃドライなんでふつうに異動しますけど。ともかく、超激務をチーム一丸となって乗り越えていく、みたいな働き方の酸いも甘いも全部、僕にはわかるのだ。

この映画の大部分を占める「労働の妙」のドタバタコメディに大笑いし、ふと終盤で立ち止まって「人間関係の妙」を突きつけられた瞬間、グチャグチャのコードがフワッとほぐれるような安心感やほろほろ涙へと繋がるんだな。その暖かなギャップがよかった。感動シーンをちょっと台無しにしちゃう部長の人柄やギャグもまた、爽やかな感想へと導いてくれた。

まとめ

あと特筆するべき点としてはリリスクが思いの外登場してくれたこと。今年の7月の現体制ラストライブで一区切りしてしまって以降鮮度が落ちてしまっていたけど、久しぶりにフレッシュなリリスクを最高の映画の劇中に肌で感じることができて、ファン冥利に尽きる。改めて「WORLD'S END」というアルバムがいかに傑作だったかを思い知る。

・・・

考察とかあまり無い映画なんでとりあえず忘れないように感想だけずら〜っと書いてしまった。今ここまで書いておもったけど、「サマーフィルムにのって」に似たテーマと清涼感を味わっているかもしれない。

 

「人と働く」ということについてよーく考えた。でもお金は欲しいし休みも欲しい。どんなに良い職場でも月曜日は嫌だ。そんなこんなで、映画館で初めて声出して笑った。涙も出た。とっても良い映画だった。